2017年6月7日水曜日

22kBqのプルトニウム239ってどれくらいの量?

 今日はプルトニウム22kBqというのがどれほどの量なのかを計算してみました.まず,壊変に関する方程式を用います.ある時刻tでの原子核の個数をNとすると,その個数は下のような微分方程式で与えられます.この式は単位時間あたりの原子の崩壊(減少)する個数を表すため,放射能の導出にも用いられます.

 t=0での原子の個数をN0とすればこの方程式の解は次のようになります.

 ここで,原子の数が最初の半分になるtの値(半減期)をTとすると,
 
 これをλについて解きます.このλはあとで使います.
 
 ところで,原子数Nのとき,その原子の原子量をm[g/mol],アボガドロ数をNAとすれば,N個の原子の質量Mは以下のように求められます.

 
 今,単位質量(今回は1g)あたりの放射能(比放射能)をAとすれば,N個の原子の比放射能Aは上の2つの式を用いて下のように求められます.
 
 ここで考えたいのはある放射能(y[Bq]としましょう)での物質の質量であるので,その質量をx[g]とおくと,
 
 このように目的のxは原子量・半減期・物質の質量から求められる値となります.

 では,22kBqでのプルトニウム239の質量を求めてみましょう.プルトニウム239の半減期は2.411*10^4年(2.4万年くらい!)で,原子量は239ですから,これらの値を上の式に代入すれば,

 9.6μgと出ました.分子の最初にある31.5*10^6というのは年を秒に直すためのものです.
 同様に,いくつかの他の核種についても22kBqあたりの質量を求めてみました.

 (表作るときに掛け線の設定間違えたけどいい感じになってるしまあいいや)先に導いた式からもわかることですが,半減期が短いものほど少ない質量で22kBqに達する傾向があります.
 
今回導いたのは物質何gで22kBqになるか,というものでした.放射能の定義は1秒当たりいくつの壊変が起こるか,というだけのことです.ですから,放射線が人体に及ぼす影響の大きさとなると話は別です.上の表からもわかるように,比放射能だけで言えばプルトニウムよりも三重水素のほうがずっと大きいです.しかし,三重水素は低エネルギーのβ線を放出するのに対し,プルトニウムは高エネルギーのα線を放出し,物体との相互作用のしやすさは大きく異なります.また,被曝する部位によっても状況は大きく変わるので,今回の計算は物質がどれほど危険なのかを表す指標にはなり得ません.まあこんなもんか,という気持ちで読んでいただけたらいいかなと思います(そもそも私が復習として計算してみただけだし).

 計算ミス等あったらコメントください.

 半減期やアボガドロ数の値は理科年表2017を参考にしました.